「言語化」「聴く力」で組織も営業も変わる── イノヴィスタ代表・岩﨑崇 インタビュー ①

2024.08.10
「言語化」「聴く力」で組織も営業も変わる──  イノヴィスタ代表・岩﨑崇 インタビュー ①

組織の生産性を高めるためには、経営者や管理職が「言葉の力」を持ち、対話を通じて組織を動かすことが不可欠 です。

株式会社innovista(イノヴィスタ)では、経営者・経営幹部・管理職向けに「組織づくりコーチング」 を、またビジネスパーソン向けに「1on1講座」 を提供し、対話と傾聴のスキルを実践的に磨く機会を提供しています。

イノヴィスタの代表・岩﨑崇のインタビューを、2回に渡ってお届けします。第1回では、岩﨑のキャリアの変遷や、イノヴィスタ立ち上げの背景、「組織を動かすために必要な言語化スキル」について掘り下げます。

✔ 社員が自発的に動く組織をつくりたい
✔ 対話や傾聴のスキルを深めたい

そんな経営者・管理職・ビジネスパーソンの皆さまに、ぜひご覧いただきたい内容です。

第2回目はこちら

大学3年生、就職活動時期にバブルが崩壊した

─ 学生時代はどのように過ごされていましたか?

岩﨑:大学では軽音楽部に所属し、パンクロックやスラッシュメタルに夢中になっていました。1・2年生のころは授業にはあまり出席せず、部室で音楽をしたり、友人と過ごしたりする時間がほとんどでしたね。理系学部で実験の授業があるので、3年生になってからは真面目に出席していました。

在籍していたのは、環境保健学部です。90年代前半、世の中では環境分野が注目され始めていたので、「これからの時代は環境の時代になるだろう」と漠然と思っていたんです。環境問題に強い関心があったわけではなく、「世の中の流れに乗ればどうにかなるだろう」という考えでした。バブル景気の真っ只中でしたし、就職口はいくらでもあるだろうと思っていましたね。

─ その後、社会に出る際の状況はいかがでしたか?

岩﨑:私が大学に入学した頃は、バブルの終盤でした。「就職には困らないだろう」と楽観的に考えていましたが、大学3年生の頃にバブルが崩壊し、状況が一変しました。それまでは「どこにでも就職できる」という空気があったのに、突然、「仕事がない」という現実が突きつけられたのです。キャリアの方向性を決めていなかった私は、突然、何をどう選べばいいのか分からなくなりました。

この時に感じた閉塞感は非常に強く、自分の未来が急に見えなくなるような感覚でした。学生時代は何となく「このまま卒業して社会に出れば何とかなる」と思っていましたが、バブル崩壊でその前提が崩れ去ったのです。

─ その閉塞感の中で、どのように行動されたのですか?

岩﨑:大学4年生のときは一切就職活動をしませんでした。周りの友人は何とか内定を取ろうと動いていましたが、「ただでさえ選択肢が少ない中で、もがいて変な会社に入りたくないな」と思っていたんです。卒業後は、一旦大学に研究生として籍を置くことにしました。といっても、実際には研究をしていたわけではなく、アルバイトをしたり遊んだりしていたんですけどね。

ただ、同級生たちが次々と社会人としてのスタートを切るのを見て、次第に「自分はこのままでいいのか?」という焦りが募ってきました。卒業から半年経った頃、ようやく就職活動を始めることにしました。

未整備な組織に飛び込む挑戦

─ 就職活動をして、どのような会社に入りましたか?

岩﨑:最終的に害虫駆除関係の会社に入りました。就職活動を始めた当初は、希望業界ではなかったのですが、この業界に入った同級生から話を聴くうちに考えが変わりました。

大手企業のように仕組みが完成された環境よりも、まだ未整備な会社の方が自分の力を試せるのではないかと思ったのです。「自分が会社の仕組みを作る側に回れるかもしれない」という期待が生まれ、最終的にこの業界に挑戦する決意をしました。

─入社後はどのような業務を担当されたのですか?

岩﨑:最初はPCO(Pest Control Operator;略称PCO)として、ビルや飲食店の害虫駆除の現場作業を担当しました。半年ほど現場を経験した後、企画室に異動しました。その後、当時の社長から「昇進したいなら営業をやらないとダメだぞ」と言われたことがきっかけで、営業職に挑戦することになりました。入社から2年半ほど経過した頃でした。

─ 実際に営業をやってみて、どのような経験をされましたか?

岩﨑:最初は本当に苦労しました。当時の営業スタイルは「いかに話して説得するか」が重視されていて、先輩たちは即決で契約を取ることが多く、それが営業職の基準だったんです。その一方で、私は即決で契約を取ることができませんでした。最後の一押しが弱くて。

ところが、訪問から1〜2ヶ月後にお客様から注文が入るようになったのです。それを見た先輩が「岩﨑くんの営業は、後から成果が出るタイプだね」と言われ、認めてもらったと感じたんです。そこからは、「即決じゃなくてもいい」と考えるようになり、営業が楽になりました。

─ じっくり関係を築くスタイルが岩﨑さんに合っていたのですね。

岩﨑:そうですね。もともと、人の話を聴くのが得意だったのかもしれません。お客様の話をじっくり聞き、信頼関係を作ることで、最終的には契約につながる。あとからじわじわと結果が出るタイプの営業でした。当時はそれをスキルだとは思っていませんでしたが、今振り返ると自分に合ったスタイルだったのだと思います。

─ 営業のあり方も、今とはかなり違う時代でしたよね。

岩﨑:そうですね。今でこそ「営業は聴くことが大事」と言われますが、当時は「いかに喋るか」「口のうまい人が営業向き」といった考え方が主流でしたからね。

あと、自分が本当に良いと思えないものを売るのも苦手でした。会社から「これを売れ」と言われても、自分が心から良いと思えないものは売ることができませんでした。逆に、「これはお客様にとって本当に良いものだ」と思えたら自然と売れていく。その頃から、営業の本質は「話すこと」ではなく「聴くこと」「信頼を築くこと」だと実感するようになりました。

─ その姿勢は、コーチングに通じるものがありますね。

岩﨑:確かに、今振り返るとそうですね。当時は意識していなかったけれど、「相手の話を聞いて、相手が本当に必要なものを引き出す・提供する」という考え方は、コーチングの本質にも通じるものがあります。今では「聴く力」が営業にもマネジメントにも必要不可欠だと実感しています。

「聴く力」の営業スタイルとマネジメントの転機

─ その後、どのようにキャリアが進んでいきましたか?

岩﨑:26、27歳で役員になりました。正直、「なぜこんなに早く?」という感覚でしたね。

その後、30歳のときに会社でISO取得を担当することになりました。営業を続けながら、夜はISOの勉強をして、約1年半で取得に成功しました。最初はISOの資料を読んでも全然理解できなかったのですが、ある瞬間、すべてがつながり、一気に理解できたんです。「マネジメントとは何か」を深く学ぶ転機になりました。

─ ISO取得が大きな転機だったのですね。

岩﨑:はい。最初はコンサルタントに頼っていましたが、途中から自分たちだけで対応して取得に繋がりました。コンサルに頼ったままだったら、そこまで理解は深まらなかったと思います。その結果、私の名前が地元の業界内で知られるようになり、「ISOを取得した会社のキーマン」として、多くの企業から注目されるようになりました。

──その後、社長になられたのですね。

岩﨑:常務・専務を経験し、36歳で社長になりました。

─ しかし、社長になって1年で辞めたとお聞きしました。

岩﨑:そうなんです。会社の方針や意思決定のあり方に違和感を感じることが多くなり、自分のやりたいことと大きくズレていると感じました。私は変革を進めようとしましたが、周囲は保守的だったので反発が大きく、最終的には退職することを決断しました。

退職の翌日に新しく会社を設立しました。サラリーマン社長と創業社長の両方を経験したことになります。

コーチングとの出会いとイノヴィスタ設立

─ イノヴィスタの設立背景を教えてください。

岩﨑:きっかけは2つあります。1つは、ある会社の役員陣と関わったときに「経営の知識やスキルを伝えたいのに、言語化できていない、ゆえに伝えられない」と感じたことです。

もう1つは、『人生100年時代』と言われはじめ、60歳を過ぎても働くことが前提になりつつあったことです。自分が60歳を過ぎたときに、どのような仕事をしていたいかを考えたとき、コンサルティングのイメージが浮かびました。サラリーマン社長と創業社長、両方経験したからこそできることがあるのではないか、とも考えていました。

この2つの要素が重なり、MBAを取得することを決めました。そして、学びを進めるうちに「経営者を支援することが、日本の成長にもつながるのではないか」と考えるようになったんです。それがイノヴィスタの原点です。

─ MBA取得とコーチングの学びはどのように関係していますか?

岩﨑:MBAではコーチングの概念は学びましたが、スキル習得の機会はありませんでした。その後、転職エージェントとの会話の中で「岩﨑さんがやりたいのはコンサルティングではなく、コーチングですね」と言われて。そこから改めてコーチングを調べて、「相手の考えを引き出し、自己認識を高める」というコーチングの本質に強く共感しました。

このとき、過去に取材を受けた新聞記者とのやり取りを思い返していました。その記者と話していると、頭の中にぼんやりしていた考えが次々に言葉になり、自分でも驚くほど鮮明に整理されていくんです。質問されるたびに「ああ、自分はこう考えていたのか」と新たな気づきがありました。話せば話すほど、自分の考えが深まり、確信へと変わっていく。その感覚がとにかく気持ちよくて、「この対話こそが価値あるものなんだ」と実感していました。

それがまさにコーチングの本質だったんです。その記者のスキルは、単なるインタビューの技術ではなく、私の内面から真の思考を引き出す力があった。まるで、自分の考えが言葉になり、整理される瞬間の喜びを味わっているようでした。

「あれはコーチングなのか」と気づいたとき、自分が目指すべき道がはっきり見えました。これまでの経験がつながり、経営者として成長するために最も重要なものが『言語化』だと確信したんです。

── 岩﨑さんが、経営者にとって『言語化』が重要と考える理由は何ですか?

岩﨑:言語化できなければ、考えていることは形になりません。ビジョンを持っていても、それを『社員が理解できる言葉』で伝えなければ、組織は動きません。また、経営者自身の思考整理のためにも、言語化は不可欠です。

もっと早くコーチングスキルを知っていたら、社員に伝わる言葉で言語化できていたら人生が変わっていたんじゃないかとも思います。私はあまり後悔することはないのですが、唯一の後悔があるとすれば「もっと早くコーチングに出会っていれば」ということです。

それほど、経営者にとってコーチングスキルは大切なんだと思います。会社の経営者や経営幹部がみんなコーチングスキルを持っていたら、組織はもっとスムーズに回り、会社経営もうまくいくはずです。

─ 岩﨑さんが実現したいのは、コーチングのお客様を増やすことに留まらず、経営者全員にコーチングスキルが身についている世界なんですね。

岩﨑:それが一番の望みですね。経営者自身がコーチングスキルを持つことで、組織全体がより良い方向に進むと確信しています。コーチングは単なる対話の技術ではなく、「人の可能性を引き出し、成長を促す手法」です。すべての経営者がコーチングを活用すれば、会社経営はもっと円滑になり、みんなが幸せになれると思います。

(次回は、中小企業の組織づくりで重要な『心理的安全性』『傾聴力』、1on1スキル習得講座・コーチングについてをお話します

 

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