他業務に無関心な役員や幹部が、組織全体を「自分事」として考えるようになるには?

2024.08.16
他業務に無関心な役員や幹部が、組織全体を「自分事」として考えるようになるには?

あなたの会社の役員や幹部が、自分の業務以外に関心を持たず、他部署・他業務のことは知らない、協力しないという状況はありませんか?

この記事では、そんな役員や幹部とどのように向き合い、組織全体の協力と連携を促進する方法について、よくある失敗例・具体的な改善施策を解説します。

役員や幹部の無関心がもたらす影響

役員や幹部が自分の業務以外に関心を持たず、他の部署やプロジェクトに無関心関心な場合、以下のような影響が生じる可能性があります。

コミュニケーションの断絶
部門間の連携が不足し、情報の共有が滞り、会社全体のパフォーマンスやリスクマネジメントが低下する恐れがあります。

モチベーションの低下
無関心な態度は従業員全体のモチベーション低下につながります。特に、役員や幹部がチームとして一体感を示さない場合、従業員は「自分たちの努力が評価されない」と感じやすくなります。その結果、仕事への熱意が失われ、生産性の低下を招くことがあります。

【創造性の欠如
異なる視点やアイデアが交わらないため、革新的な発想が生まれにくくなります。これにより、部門間の協力があれば生まれたかもしれない画期的な商品アイデアや、効率化につながる業務改善の機会など、目に見えない損失を被る可能性があります。

経営者から役員や幹部へのアプローチ失敗例

「他業務に無関心な役員や幹部へ様々なアプローチをしているが、一向に改善しない・・・」という経営者の方は、以下のような経験があるのではないでしょうか。

・役員会議で「役員は担当の部署だけでなく全体を見なさい」「リーダーとはこういうものだ」などと発信しても一向に改善しない
・部門を横断した会議やプロジェクトを設けたことはあるが、他人事のまま
・全体の数字を共有しても自部署の数字しか見ておらず、全体の数字に関心があるように見えない

しかし、このような取り組みは効果が限定的になりがちです。なぜなら、役員や幹部が他業務に関心を示さないのは「視座が低い」ことが主な原因だからです。

「視座」とは「物事を見る姿勢、それを把握する立場」を示す言葉です。似たような言葉で「視点」と「視野」がありますが、視点は物事を見るときの観点、視野は物事を捉える範囲を意味します。

企業の場合、3つの言葉には以下のような違いがあります。

・視座:経営陣や一般社員など、どの立場で見るか
・視点:業績や商品、組織など、どの観点で見るか
・視野:時間軸(長期、短期)、規模(部署横断、会社全体、競合他社、国内、海外)など、どの範囲で捉えるか

これらを踏まえると、視座が高いのは「今の自分よりも上の立場で物事を見ることができる状態」、視座が低いのは「自分に与えられた仕事をこなすだけで、組織に与える影響、目的を意識していない状態」を意味します。

つまり、会議やプロジェクトを実施しても、役員・幹部の視座自体が変わらなければ、期待する効果は得られにくいのです。視座を高めることで初めて、全社的な視点から物事を捉え、協力の必要性を理解できるようになります。

役員や幹部の関心を引き出すためのアプローチ

ここからは、役員・幹部の視座を高めるためのアプローチを紹介します。

個別の課題への対応】
1on1セッションや専門のコーチングを通じて、個々人が直面している課題を特定します。このとき重要なのは、自分自身で「今の自分は視座が低い状態だ」課題に気づき、自分で解決策をイメージできることです。経営者やコーチは、そこへ導く役割ですので、決して答えを押し付けないように気をつけましょう。

これにより、役員・幹部はより高い視座で物事を見て考える習慣が身につきます。そして、自分の業務や部門だけでなく、組織全体の視点から問題解決を考えられるようになります。

【リーダーシップスキルの向上
組織全体で成果を出すには、リーダーの力だけで成し遂げることはできません。メンバーそれぞれが考え、周りと協力して行動することで成果に繋がります。

この状態にするために重要なのは、役員や幹部のリーダーシップです。メンバーが自主的に行動できるよう、方向性を明示する・物事を決断する・話を聞く・変化に対応する能力を身に着けましょう。

【オープンコミュニケーションの促進】
役員や幹部が他部門に関心を持つようにするためには、オープンコミュニケーションの文化を築くことが重要です。定期的な全社ミーティングや部門横断的なプロジェクトチームの設立など、自然に情報が共有される場を設けましょう。

【組織目標に対するコミットメントを強化】
組織ごとの目標と組織全体の目標を連携させ、自身の組織に対する責任感とコミットメントを高めます。これにより、組織全体としての一体感と目標達成に向けた動機が強化されます。

【組織全体のビジョン・目標にどんな貢献ができるかを示す
組織全体の目標やビジョンを明確にし、それぞれの役員や幹部がどのように貢献できるかを示すことも、視座を高める有効なアプローチです。個別の業務に対する責任を果たしつつ、全体の成功に向けて自分は何をすべきか?という意識が強くなります。

【相互支援の文化を育む
部門間の連携や協力に貢献した役員や幹部、従業員を表彰する制度、他部門の役員や幹部同士で評価し合う制度も有効です。これにより、役員や幹部が他部署の業務に関心をもち、協力する意識が高まります。

まとめ

役員や幹部が自分の業務以外に関心を持ち、協力し合うことで、会社全体の成長と成功を促進することができます。本記事で紹介した具体的なアプローチ方法を参考に、役員や幹部の無関心を解消し、強い協力体制を築いていきましょう。

株式会社Innovistaでは、経営者が直面する課題を共に解決し、持続可能な組織作りをサポートします。経営者が孤独を感じることなく、組織全体で協力し合う環境を築くために、ぜひご相談ください。

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