
自分に嘘をつかない生き方が組織を変える。PLAYWORK 代表 掛布篤行さん【想いに火を灯し、地域を動かす社長たち】
企業の持続的な成長に不可欠な人材育成。その鍵となる部下育成や組織力向上において、1on1ミーティングは今や不可欠な施策です。しかし、「いざ導入してみたものの、ただの雑談で終わってしまう」「1on1は意味がないと感じている社員がいる」「部下の本音を引き出せず、育成に繋がらない」といった課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
イノヴィスタの「1on1スキル養成講座」は、こうした悩みを解決し、1on1の質を飛躍的に向上させるための講座です。メンバーの自律的な成長支援を目的とし、コーチング、ティーチング、フィードバックなどを効果的に組み合わせる1on1の基礎から応用までを習得できます。
今回は、上級編まで修了した白川智久さんに、受講のきっかけや学び、実践を通じて感じている変化についてお話を伺いました。
白川智久さん
紙器加工メーカーとセールスプロモーション事業を全国に展開する企業にて、管理部の総務人事部長を務める。長年にわたる管理職の経験を持ち、新規事業の立ち上げにも携わるなど、豊富なマネジメント経験を有する。
一番のきっかけは、社内のマネージャー層に、本来あるべき1on1のやり方や考え方をしっかり届けたいという思いがあったからです。
私自身、前職から研修会社に携わっていた経験もあり、グループワークのファシリテーションなどは感覚的に理解していました。しかし、あくまで体験から得たもので、知識として体系的に学んだわけではありませんでした。
また、人事として社員との面談機会が非常に多いので、自身のスキルアップはもちろん、この学びを社内に展開していくためにも、一度しっかり理論から学び直したいと考えました。
現代の管理職のマネジメントは、「業務管理」の色合いが濃くなっている、と以前から感じていました。ハラスメントなどへの配慮から、プライベートな領域に踏み込みにくくなっているという背景もあるのかもしれませんが。
もちろん業務管理は必要ですが、それだけでは不十分で、チームを率いる「リーダーシップ」が不可欠だと私自身は思っています。しかし、リーダーシップの体系的なトレーニングが少なく、個人の資質に任せきりになっているのが現状なのかな、と。
リーダーシップが不足したまま業務管理に偏ると、メンバーは「作業員」のようになってしまい、自ら考えることをやめてしまいます。そうなると、仕事はただの「作業」になり、本人の意思や工夫は介在しなくなります。結果として、メンバーのエンゲージメントは下がり、離職にも繋がりかねません。
「結局、最後に組織を支えるのは人の力。本当は“人”が一番替えが利かないはずなのに」という強い危機感がありました。
1on1やコーチングには、このリーダーシップの根幹を成す「人と向き合う」という重要な要素が詰まっている。ここを学べば、状況を打開するヒントが見つかるかもしれない、と思いました。
そうですね。世の中で行われている1on1と、私が理想とする1on1には、大きな隔たりがあるように感じています。業務の進捗確認や指示で終わってしまうのは、非常にもったいないです。
業務に関する話は日々のやり取りで完了させ、1on1という特別な時間では、もっと相手の内面や、将来のビジョン、仕事の目的といった、本人の自己啓発に繋がるような対話をすべきだと考えています。
深い対話を通じて信頼関係が築ければ、結果的に業務の精度も自然と上がっていくはずです。1on1を単なるスキルとして切り取るのではなく、チームビルディングの中核として位置づけ、組織の文化として根付かせていくことが重要だと思います。
以前、経営者が集まる研修を受講していたとき、終了後に自然と集まるような強い繋がりができました。社内でもあの一体感、距離感を作りたい。スキル習得だけでなく、その先にある「関係性の構築」こそが、組織力を本当に高めるのだと確信しました。
「GROWモデル」の考え方は、まさに目から鱗でしたね。
GROWモデルは、G(Goal:目標)、R(Reality:現状の把握)、O(Options:選択肢の拡大)、W(Will:意志の確認)という流れで対話を進める方法です。
このモデル自体は以前から知っていましたが、改めて学んだことで有効性を再認識し、活用の幅が広がりました。特に「理想と現状のギャップを埋める」という視点は、あらゆる場面で活用できます。
それに気づいてからは、仕事がうまくいかない悩んでいる若手がいたら、「上司は、あなたへの期待と現状にギャップを感じている。その差を埋めるために◯◯を頑張ろうと言ってくれている。だから人格否定と捉えなくていいんだよ」と伝えるようにしています。
大きく変わりました。特に「ゴール設定」を意識するようになってからです。以前は話を聞いて「スッキリしたなら良かった」と、少しふわっと終わらせてしまうこともありました。
1on1スキル養成講座を受講してからは、「この時間でどうなりたい?」と最初に問いかけ、面談のゴールを一緒に描くようにしています。ゴールが明確になることで、部下自身も自分の課題と向き合いやすくなり、対話がより建設的になります。
先日も、自分を責めてしまう傾向がある若手社員との面談で、じっくりと対話を重ねたことがありました。彼の言動が自己防衛から来ていることに焦点を当て、「その感情に気づいてみよう」と働きかけたところ、彼自身が自分の課題に気づき、「具体的な方向性が見えてきました」と晴れやかな顔で言ってくれたんですよね。
相手の成長に直接貢献できたと感じた、嬉しい瞬間でした。
ただ、若手の場合はゴール設定が少し曖昧で、こちらから見て「ゴール設定になっているのかな?」と感じることもありますね。
「具体的に言うとどういうこと?」と深掘りしたり、別の選択肢を提案したりと、より良いゴールになるよう働きかけは試みますが、無理に軌道修正はしません。「じゃあ、まずはそれでやってみようか。来月、またその話を聞かせて」と、本人の主体性を尊重し、次へと繋げるようにしています。
まずは、現在関わっている若手メンバーとの月次のグループミーティングで実践を重ね、成功事例を作りたいと思っています。グループミーティングでは講座で学んだ「グッドサイクル」(組織の成果は「関係の質」から始まり、最終的に「結果の質」が高まる)の考え方を伝えているので、ここから社内全体に広がるようにしたいです。
まずは自分自身が関わる範囲で、メンバーが生き生きと働く姿やチームの成果という具体的な結果を示すことが、何よりの説得材料になると思っています。
やはり、部下を持つ立場にいる、すべての方でしょうか。管理職や経営者はもちろん、チームをまとめるリーダーの方々にも、ぜひ受講してみてほしいです。この講座で得られるのは、単なるスキルだけではないと感じています。
メンバー一人ひとりの可能性を心から信じ、その成長を支援するという、リーダーとしての「あり方」そのものを学べますから。組織の未来を本気で考える方なら、必ず大きなものを得られるはずだと思います。