1on1で「話すこと」に迷わない。部下の成長を引き出す6つのテーマ設定

「今週の1on1、何を話そう…」
「業務進捗の話ばかりになってしまい、マンネリ化している気がする」
多くの管理職が抱える「話すことがない」という悩み。
実は、1on1がうまくいかない最大の理由は、会話のネタがないからではなく、「1on1の本来の目的」を見失ったまま、漫然と始めていることにあります。
本記事では、まず1on1の定義と目的を整理した上で、部下の状況に合わせて使い分けられる「6つのテーマ設定」について、具体的なトーク例を交えて解説します。
そもそも「1on1」とは?
1on1とは、「部下の成長支援」を目的に、上司と部下が定期的に行う対話の時間のことです。
よくある誤解として、「人事評価面談」や「業務の進捗確認会議」と混同されがちですが、これらとは明確な違いがあります。

つまり、上司が聞きたいことを聞く場ではなく、「部下が話したいこと」を聴き、思考を整理するための時間です。
1on1を実施する3つの目的
なぜ、忙しい時間を割いて1on1を行う必要があるのでしょうか。
これには、3つの目的があります。
①信頼関係の構築(心理的安全性)
定期的な対話を通じて「自分のことを見てくれている」という安心感を与え、本音で話せる関係性を築きます。
②経験学習の促進(成長支援)
業務経験を振り返り、「何がうまくいったか」「次はどうするか」を言語化させることで、部下の自律的な成長を促します。
③組織の成果最大化
部下のモチベーション向上や、潜在的な課題の早期発見により、結果としてチーム全体のパフォーマンスを高めます。
この「成長支援」を達成するために重要なのが、次にご紹介する「テーマ設定」です。
なぜ「テーマ設定」が重要なのか?
1on1の目的は「雑談」ではありません。
限られた時間で部下の成長につながる気づきを得るためには、「今日は何を解決したいか(テーマ)」を明確にする必要があります。
テーマ設定が曖昧だと、ただの愚痴で終わったり、上司が一方的に話す演説会になってしまいます。
逆に、適切なテーマさえ設定できれば、あとは解決に向かって対話を深めるだけです。
テーマは仕事だけでなく、個人的な価値観や健康状態など多岐にわたります。
部下の成長を引き出す「6つのテーマ」と具体例
部下の抱えている課題や関心ごとに応じて、以下の6つのカテゴリから、テーマを選んでみましょう。

出典:1on1スキル習得講座 第2回目
1. 自己認識・価値観
部下自身が「自分の強み・弱み」や「大切にしていること(価値観)」を理解することで、主体的な行動が生まれます。自分らしさを仕事にどう活かすかを考えるきっかけになります。
✅ トークテーマ例
・自分の強みと弱みを整理して、どのように業務に活かすか考えたい
・現在の行動が、自身の価値観(大切にしたいこと)と合っているか振り返りたい
2. 感情やストレス
パフォーマンスの低下は、スキル不足ではなくメンタルの不調から来ることも少なくありません。ガス抜きをするだけでなく、ストレスとの付き合い方(マネジメント)を自ら考えさせることで、持続可能な働き方を支援します。
✅ トークテーマ例
・最近のストレスをどうマネジメントするか(対処するか)考えたい
・仕事とプライベートのバランスについて話したい
3. 人間関係、チーム
仕事の悩みの多くは人間関係に起因します。チーム内のコミュニケーションや他者との関わり方を扱うことで、組織全体の心理的安全性を高め、連携をスムーズにします。
✅ トークテーマ例
・チーム内のコミュニケーションを改善する方法を探したい
・特定のメンバーとの関係性をより良くするための関わり方を考えたい
4. キャリア、成長
目の前の業務だけでなく、長期的な視点(ビジョン)を持つことで、今の仕事に対するモチベーションや意味づけが変わります。「評価」ではなく「成長」に焦点を当てた対話です。
✅ トークテーマ例
・自身のキャリアについて、長期的なビジョンを描きたい
・今後、リーダーシップをどう発揮すべきか考えたい
5. 業務、目標達成
単なる進捗報告(Reporting)ではなく、壁を乗り越えるための「作戦会議」を行います。上司が答えを出すのではなく、部下自身にアイデアを出させることで、解決能力を高めます。
✅ トークテーマ例
・今月の目標をどのように達成するか、新しいアイデアを出したい
・進行中のプロジェクトに関する課題を整理したい
6. モチベーション向上
やる気が下がっている原因(阻害要因)を特定したり、マンネリ化した業務に新しい意味を見出したりすることで、エンゲージメントを再燃させます。
✅ トークテーマ例
・最近やる気が下がっている原因を探り、対策を考えたい
・マンネリ化した仕事に、新しい視点ややりがいを取り入れる方法を考えたい
まとめ
1on1は、以下の手順で進めることで形骸化を防げます。
目的の理解: 「これはあなたの成長のための時間だ」と伝える(オリエンテーション)。
テーマ設定: 「今日は何について話そうか?」と部下に選んでもらう。
ぜひ次回の1on1では、今回紹介した6つのテーマを参考に、部下と一緒にテーマを決めてみてください。
テーマを決めた後の具体的な進め方(傾聴や質問のステップ)については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考にしていただければ幸いです。
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